2016年度

この冬は寒暖差が激しく体調管理が大変でしたね。特に風の強い日が多く、小さなお子様を連れてキャロルへいらして下さるのは、さぞ大変だった事でしょう。私達講師もレッスン日には「どうぞ良いお天気でありますように・・」と毎回願っていました。そんな季節も終わりに近づき、穏やかな日も増えてきました。1年間、保護者の皆様のご協力には誠に感謝しております。ありがとうございました。
それでは春の定期便「お喋り箱」をお届けします。
はじめに、本年度の行事の報告とお知らせです。

2016年度のキャロル

8月…造形教室 「ニョロニョロパズル デラックス

今回は、以前の作品でとても好評だった「ニョロニョロパズル」を更に進化させたものを作りました。まず3cm×3cmの木の立方体に、ゴムを通して9個繋げます。まるでニョロニョロ蛇のようです。それを正方形に整えて、その上に絵を描いていきます。さらに、違う面も表になるように正方形に整えて絵を描きます。何面かにそのように絵を描いた後、最初のニョロニョロ蛇の形に戻すと、絵がバラバラになります。それを動かして絵の形を再現するパズルが出来上がりました。案外元の絵に戻すのは難しく、昔流行った「ルービックキューブ」を思い出しました。木の枠に最後にピタッと仕舞うと、立派なオブジェにもなります。

毎年の事ながら、こども達が少しでも楽しめるようにと、木のブロックひとつひとつにゴムの穴を開けたり、危なくないようにやすりをかけてなめらかな面にしたりと、御堂先生の気持ちがこもった事前準備には頭が下がります。
そして、思い切ったデザインや絵を描くこども達を手伝いながら、その思い切りの良さはリトミック効果なのかしら?と喜んだり、リトミックのレッスンでは見られない側面を発見しては感心したりする、楽しい夏の一日でした。

 

12月…クリスマスコンサート
ギターとヴァイオリンによる「ジャズとクラシック」の融合は、キャロルのコンサートでは初めてのテーマとなりました。ギターの横田明紀氏とヴァイオリンの長尾珠代さんはご夫婦でプロの演奏家ですが、普段はそれぞれ違うジャンルでご活躍されて

おり、今回はお二人で行う貴重なコンサートでした。同じ弦楽器でもまったく違うふたつの楽器を活かしたプログラムを楽しみながら、音色や演奏方法の違いなども教えていただきました。
ギターを打楽器のように激しく叩く演奏に観客はびっくり!付け爪をされてピック替わりにして演奏されるのですが、超人技のその腕前にため息が漏れました。又、ヴァイオリンの音域の広さや長い音に籠る響きの豊かさにも心奪われました。リトミックコーナーでは、普段のピアノの音でない楽器の音色で反応し、刺激的でした。

リトミックのレッスンではクラシカルな即興音楽が基本ですが、時々ジャズや現代の響きの音楽も体験します。その時のこども達のノリがあまりに良いので、今回の企画を思いつきました。コンサートを終えて改めて、音楽とはジャンルや世代を超えて楽しめるものだと感じたのでした。

 

2月…親子ふれあいコンサート 2月19日(日)

毎年好評を得ている1~2歳児対象の「親子ふれあいコンサート」を今年も開催しました。歌のお姉さん、竹田 えりさんをお迎えして、親子で楽しめる手遊び、うた遊び、パネルシアターありの楽しいコンサートでした。

途中は私達キャロルの講師による「リトミックコーナー」もあり、とても盛り上がりました。「サンサン体操」では大きな風船を全員で投げてまわしていき、大人も子どもも大はしゃぎ!また、アンコールを兼ねてえりお姉さんが弾き語りで歌った「心の中の宝箱」に涙したお母様も多かったのではないでしょうか。「あなたが生まれて来た日を覚えている。・・・あなたが生まれてきて良かった」という歌詞に身を委ねながらずっとお子様を抱きしめて頬ずりしていた、あるお母様の姿に、私達も心が温かくなり涙がでそうになりました。親子が更にふれあいを深めたコンサートでした。

 

3月…作品発表会 3月19日(日)
D・F・研究科 による作曲の発表

キャロルではリトミック成果のひとつとして、創作活動に力を入れています。小さな頃からの音楽体験が能動的に外に現れるからです。小学1年生はメロディー創作、3年生は和声付創作、4年生以上の研究科は即興演奏と音楽を視覚的に表現する「プラスティークアニメ」を皆様に発表します。ご興味がおありの方は是非お越し下さい。席に限りがありますので、担当講師までその旨をお知らせ願います。お待ちしております!

 

リトミック a la carte vol.25

インターネットで「リトミック」と検索すると、今や溢れんばかりの情報が出てきますね。名前も「○○リトミック」の○○に、音楽とは全く関係のない言葉がついているものもあり、一体、何をもって「リトミック」と定義付けられているのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

リトミックは「音楽の為の音楽教育」なのです。

それならば、音楽がちょっとでも関係していれば全てリトミックなのでしょうか?
リトミックには、他の音楽教育とは違うキーワードがあります。
それは「動く」という事です。

何故動くのか?それは音楽の感覚を、自分の動いた筋肉への感覚に置き換える事で音楽を「実感させる」ためです。例えば、音楽と一緒に歩くという事ひとつとっても、自分の体重を空間の中で移動させる経験は、とても大きな事です。大きな筋肉を動かす事で、筋肉経験は非常に深いものになります。

もう一つのキーワードは「思考する(クリエイトする)」というものです。

音楽を聴く→脳(思考する・指示を出す)→神経組織→筋肉が動く

これは即時反応というリトミックの基本練習の流れです。これをできるだけスムーズに行う事で、集中力・思考力・判断力・反射性・想像力等が身についてきます。具体的には、即興演奏による初めて聴く音楽を自分で即時に分析・判断し動く、という事です。バレエやダンスのように振り付けを動くのではなく、自分自身でクリエイトしたものを動くという事です。

それを常に即時に要求するのがリトミックなのです。事前に考える暇はありません。無意識にそれを行う状態を作る事が、リトミックの練習です。

そう考えると、本来のこのふたつの特徴を活かしたレッスンをしているリトミックスクールはどれくらいあるのか、インターネットで探す事は極めて困難です。

私達も、見学日や個人面談等を通じて、「リトミック」のご理解を深めていただけるよう努力しておりますが、言葉で説明するのはとても難しいです。

お子様のリトミックをしている姿を見ても、「楽しそう」「できている?いない?」等の事が気にかかり、その練習の意味を考える事はあまりないかもしれませんね。

もしもその時できない事があっても良いのです。その練習をしている事に意味があるのですから。

・・・リトミックの創始者であるダルクローズが自分の教育法を説明するように頼まれた時、彼は、「ある生徒がレッスンで得た印象と成果を基に、リトミックの意義を説明する事はたやすい事だが、より深いリトミックの理解の為には、自身がレッスンを通してリトミックを体験する事が不可欠である」と言っています。

 リトミックは、大変柔軟で多面的である為に、音楽教育の分野に留まらず、一般教育(特に幼児教育)表現活動(演劇、オペラ、ダンス等)音楽療法等、多岐にわたり影響を及ぼします。とりわけ聴感覚は脳の成長に大変大きな影響がある事が生理学的にも実証されており幼児期にリトミックのレッスンを受け、 身体と聴覚を育てる事は、幼児の成長に非常に大切な事です。・・・
(日本ジャック=ダルクローズ協会ホームページ より引用)

引用させていただいた部分にもありましたが、リトミック教育の多様性がその対象の違いによって「音楽の為の音楽教育」だけでなく「人の為の音楽教育」に重きをおいている事も大切な部分です。

そのため、キャロルではリトミックを1歳から始められるように親子クラスを設けています。そして、キャロルのレッスンにはその先も年齢にあった音楽的カリキュラムが用意されています。「音楽は影響を与え続けていく」という基本理念を、創立以来ぶれることなく持ち続けているためです。長いスパンで音楽体験を重ねていかれる事が、その成果を確実に目にみえる姿に変えていくことでしょう。

キャロルは今年で創立37年を迎えます。

私達講師は、これからも音楽的クオリティを高める為に、勉強し続けて行きたいと考えております。今後共どうぞよろしくお願い致します。