2022年度

桜の開花が待ち遠しい季節になりました。あと少しで2022年度のレッスンが無事に終了致します。
保護者の皆様には今年度も沢山ご協力いただきまして感謝申し上げます。『キャロルおしゃべり箱』で2022年度を振り返ってみたいと思います。

コロナ禍でのレッスンに大分慣れたとはいえ、相変わらずのマスク着用、レッスン前の検温、手洗いや消毒など沢山ご協力いただきました。昨年度は毎月の見学日を設けられな かったり、代わりのレッスン動画配信もありましたが、今年度は毎月スタジオ内でのレッ スン見学ができるようになりました。保護者様もリアルな生徒さんの様子を見学でき安心されたのではないでしょうか。またイベントも少しだけ開催できました。少しずつですが 出来なかった事を再開できた2022年度でした。それらをご紹介させていただきます。

2022年度のキャロル

 

8月23日…<親子ふれあいコンサート> 

1歳~年少クラスを対象に歌のおねえさん「竹田えり」さんをお呼びして「親子ふれあいコンサート」を開催しました。人数制限を設け、密にならないようにと気を遣いながら でしたが、えりおねえさんの美しい歌声を聴いたり、パネルシアターを観たり、皆で歌っ たり、親子でのスキンシップゲームをしたり、踊ったり、体操したり……と盛りだくさん で、あっという間の1時間でした。最後に大きな風船を空中でパスしていくゲームではお母様方も夢中になって大はしゃぎでした。こんな風に会場が一体感を持って楽しむコンサー トは久しぶりで、以前は当たり前だった事がやっと再開できた喜びを噛みしめました。

1月29日…<作品発表会> 

毎年3学期に「作品発表会」をスタジオで開催しています。それは小さな頃からリト ミックで培ってきた音楽性を、創作活動を通じてアウトプットする目的で行っています。 出演するクラスはDクラス(1年生)・Fクラス(3年生)・研究科(4~6年生)です。

1年生はメロディー作曲、3年生はハーモニーも自分でつける作曲、研究科は毎年テーマ が違うのですが今回はボディーパーカッション(身体を打楽器のように叩いて音をだす奏 法)のパフォーマンスを発表しました。昨年度はコロナの為、クラスごとの完全入れ替え制で、大勢のお客様に見ていただけま せんでした。でも今回は3年ぶりに、3つのプログラムを通しで行うコンサート形式で開催しました!

会場には違うクラスのお友達やその保護者様などがいます。照明の機材も入り舞台が綺 麗な色で飾られています。いつもレッスンしている場所なのに、その雰囲気にのまれて出 演する生徒さんの表情が少し緊張しているように見えました。「だいじょうぶ。だいじょうぶ」と声がけしていましたが、そんな心配は無用でした。リトミックをしているお子様 は本番に強いです!誰もが堂々と発表し、その一生懸命な様子に胸が熱くなりました。

印象的だったのは、生徒さん達が他のクラスの生徒さんの発表を真剣に見ていた事で す。特に年上のクラスを初めて見た1年生達は目をまん丸にしていました。とても微笑ましく可愛らしかったです。次のレッスンで発表会の感想を聞いたら、「楽しかった!」「○○ の曲が良かった!」「もう一回やりたい!」「大きいクラスのやった事がカッコ良かった」 など興奮して話してくれました。もの凄く刺激になったようです。普段自分のリトミック しか認識していないので、違う学年(クラス)がしている事がとても新鮮に映ったようです。ある男の子は研究科の発表に心を奪われたようで、おうちで「よーし!絶対に研究科 まで生き残るぞ!」(辞めないで続けるぞ!という意味?)と話していたとお母様から伺 いました。逆に研究科のお母様は「下の学年の方の発表が懐かしかったです。」と話して おられました。コンサート形式で開催でき、お互いに刺激を受けた発表会となりました。

幸いにご欠席もなく、又後日も皆さんお元気なままでしたので、それも嬉しい出来事で した。キャロルの全クラスの皆様にもYouTubeにしたものをお送りしましたので、是非お子様とご覧いただけたらと願っています。限定配信で3月末日の期限となります。昨年も同様にクラス別動画を配信したのですが、その時「あんな事、うちの子どもがで きるのかと不安になりました」とご意見をいただいたお母様が、今年は「凄いです。できちゃいました!」と嬉しそうにお話してくださり、私たち講師も大変嬉しかったです。

2022年度はこのように少しずつコロナ禍以前に戻る事ができました。レッスンでは消毒をしながら、手と手を合わせたり、握手をしたり、近づいて、触れ合うコミュニケーショ ンを再開しはじめました。3年ぶりに実際に手を繋いで握手をした時、戸惑いながらも嬉 しくて嬉しくて満面の笑みになった子ども達。それを見て(今まで禁止していてごめんな さい。本来のリトミックの姿に戻っていこうね!)と心の中でつぶやいていました。来年 度の今頃はマスクも外して思い切り歌いたいし、友達と密に関わってアンサンブルしたい し、何よりマスクで半分しか見えなかった子ども達の笑顔の全てを見たい!と心から願っ ています。

 

リトミック a la carte vol.31

リトミックの創始者であるエミール・ジャック=ダルクローズがリトミックを発表したの は1905年です。それから100年以上経っていますが、皆様は「リトミックって何?」と質問された事はありませんか? その時どんなふうに答えていらっしゃいますか?

今の日本ではもう「リトミック」はとてもポピュラーになりました。でも具体的にお話する事は難しいですよね。そこでキャロルでは小学2~3年生を対象に自分達がレッスンを受けている 「リトミック」についてお話する機会を作っています。今回はその様子をご紹介します。

① リトミックって何?

   まず最初に生徒さんに「『リトミックって何?』と聞かれたらなんて答える?」と聞い てみます。するとなかなか面白い答えが返ってきます。「走ったりスキップしたりする」 「ボール使って遊ぶ」「美術館ごっこする」「バンブーダンスする」等……。それぞれが自分の好きだったリトミックの活動を言います。中には首をかしげて「音楽の勉 強???」と「?」を沢山つけて答える子も(笑)。今年のヒット賞は、「やってみな!っ て言う」(小2男子)でした。

そうなんです!リトミックは体験してみないと「わかった」と言えないものなのです。音楽を学ぶ方法はいくつもあるけれど、リトミックは身体を楽器のように音楽に反応させ て動くことでその感覚を身につけていきます。活動は数え切れないほど多岐にわたり、枝分かれしています。音楽要素は動く事で全て実感できます。ゆえに実感できるように動くことが重要です。それは体重移動が伴うような動きです。

その動きはバレエやダンス等の ように決まった振り付けがあるわけでなく、即時に音楽を聴いて自分で分析し、自分の表現をするという『即時反応』という動きです。それは常に思考を伴う動きなのです。そして常に音楽の変化を掴む気付きが要求されます。その練習の繰り返しで、音楽を学ぶだけではなく、集中力、心身の調和、思考力、反射性、創造性、表現力、自動性等の能力が身 につくのです。音楽を学ぶ為の音楽教育、そして音楽を使う人間教育ともいえます。

子ども達に「みんなはリトミックをしてどんなことが得意になった? あったら教え て?」と聞くと、「音楽が得意」「体育が凄い」「図画工作」「縄跳びが上手くなった」 「頭よくなった」「作文得意」「音読褒められる」「編み物ができる」など、これも面白 い答えが返ってきます。音楽と関係ない事もリトミックと繋がっていると考えているよう です。それは例えば表現力だったり、反射性、分析力、思考力等を実感しているのかとも思います。

②リトミックは誰が作り出した?

この問いに「先生!」と答える生徒さんが毎年います(笑)。「リトミックを考えた人 はエミール・ジャック=ダルクローズで、【ダルクローズ】は自分で考えて後から付けた名前です」というと、まるで芸名みたいに思うのか「変なの~」と盛り上がります。続いて、どこの国の人?何をしていた人?まだ生きているの?どうして考えたの?等、話は進んでいきます。なかには、ダルクローズは何の食べ物が好きだったの?なんて質問もあり ました。残念ながらこれには答えられなかったですが。

ダルクローズはリトミックのマニュアルをあえて残しませんでした。生徒さんは国、文 化、年齢、環境、音楽経験の違いがあるので「教師は対象に合うカリキュラムを自分で考 えていきなさい」というのがダルクローズです。その理念は、【自分自身を表現したいという欲求を育み、心と身体を調和し整えていく】事です。そのため私たちは、まず子ども 達の顔を思い浮かべながらカリキュラムを作成しています。理念を守り、音楽的になるように、楽しく活動できるように、と。そしてレッスンは子ども達とセッションをしていくように展開してゆきます。本当にやりがいのある仕事に幸せを感じています。

生徒さんが大人になって、改めて自分でリトミックを考えた時、どんな事を思うのでし ょうか。「リトミックをしていたからこんな事ができる自分になったのかな?」と感じて くだされば嬉しいですが、そうでなくても、音楽を愛しリトミックで育てた感性を活かし て、豊かな人生を過ごしてほしいと願っています。