2024年度

今年は急に寒い冬となりましたが、最近はやっと春の兆しを感じられるようになりましたね。皆様の暖かなご支援とご協力の中、2024年度も無事に終わろうとしています。ありがとうございました。
感謝を込めて、2024年度「おしゃべり箱」をお届け致します。今回は、2025年1月に開催された発表会の特集号となります。

2024年度のキャロル

夏からホール以外の部分の立て替え工事が始まるという事で、まずは年間スケジュールの調整からスタートしました。取り壊し作業のピークには皆様に大変ご迷惑をおかけ致しました。でも日頃近くで見られない重機に子どもたちはとても喜んでいたり、新しくなった洗面所やお化粧室は気持ちが良かったりと、嬉しい変化も感じられているようでホッとしています。今年の夏の終わり頃には完成する予定ですが、まだしばらくはご不便やご迷惑をおかけ致します。どうぞよろしくお願い致します。

また、ピアノクラスの出井沙緒梨先生が、7月の発表会を最後にご出産のために退職されました。12月に無事に女の子をご出産されたそうです。7月の終わりからは新しく秋本遙佳先生をお迎えし、現在は2階のお部屋でレッスンしています。新しいピアノ室の完成が待ち遠しいですね。

そして……何度も抽選に外れていましたが、ついに6月に、等々力にある「せせらぎホー ル」が当選しました。そこから1月19日の開催に向けて、講師による「キャロルリトミックスクール全体発表会」の準備が始まりました。

「作品発表会」は毎年スタジオ内で行ってきましたが、コロナ禍もあったため、全体の発表会は2018年以来でした。その当時2歳クラスで出演された生徒さんは、いまや研究科の 4年生に成長していました。つまりほとんどの生徒さんにとって、今回が初めての全体発表会となったのです。

発表会のコンセプトは「いつものキャロルのリトミックをそのままホールで行い、音楽を楽しむ子どもたちの笑顔をたくさんのお客様に観て頂きたい」でした。それは大成功だったと思います! 子どもたちの笑顔が輝いていました! なんて楽しい、幸せな時間だったのでしょう。

終わってから、皆様からもたくさんの喜びの声を頂きました。多くの労いのお言葉も頂きました。でも発表会が無事に開催できたのは、日頃のレッスンからリハーサル、本番まで、長い期間の保護者様のご協力があったからだと思います。本当にありがとうございました!

みなさまの声

発表会ではお客様として、そしてお手伝いの先生として、リトミックの先生も多く観てくださいました。感想をいただきましたので紹介いたします。

範子先生にリトミック指導法を教わった、浜松市のリトミック講師です。キャロルの発表会におじゃましました。わたしが習ったのと同じように、とてもていねいに、愛情たっぷりにレッスンを受けているんだろうなぁということがよく分かる、すてきな発表会でした。作曲した作品を聴いていると、子どもたちそれぞれの音楽性を尊重して育まれた、大切な宝物を見せていただいているような気持ちになりました。何より、ステージ上のみなさんから「リトミック大好き!」という気持ちが伝わってきて、幸せを分けていただきました♪ ありがとうございました。これからもキャロルの思い出を胸に素晴らしい音楽人生を歩まれますように遠くから祈っております。

T先生 浜松にて音楽教室「ミューレ」(リトミック、英語、歌のレッスン)主催
キャロルの先生方、出演者保護者の皆様、発表会おめでとうございました。当日を迎えられるまでの準備、そして迎えた当日と大変だったことと存じます。無事の大成功に心よりお喜び申し上げます。

舞台という非日常な状況にも関わらず、どのクラスも伸び伸びとした表現で心から音楽を楽しんでいる姿に感動いたしました。ふだんから広い広い空間で、先生方から紡がれる豊かな響きに包まれ、積み重ねられた中から生まれた音楽表現。それは尊く何度も胸がいっぱいになりました。その源は先生方の愛です。生徒さんへ、音楽へ、ダルクローズへの愛。これからもその愛が大切に育まれ、続いていくことを心から願っています。

T先生 ピアノ・リトミック講師、洗足こども短期大学講師

保護者様やお客様からの感想はこちら「保護者様メッセージ 2024年度」でご紹介しています。ぜひご覧ください。

< リトミック a la carte  vol. 32   >

今回は日本におけるリトミック指導の第一人者で、ダルクローズ・リトミック国際ディプロマ保持者の酒井徹(サカイ・トオル)氏による最新の著書『ダルクローズメソッド』 より抜粋させていただきます。

日本では「リトミック」と呼ばれていますが、国際的には創始者の名前から「ダルクロー ズ」と呼ばれています。

【ダルクローズメソッドの二側面】
ダルクローズメソッドには二つの側面があります。一つは音楽を勉強するための「音楽教育」そしてもう一つは、音楽を使って人の内面を教育する「人間教育」の側面です。

① 音楽教育
 ダルクローズは、自身が和声学の教授としてジュネーブの高等音楽院で教鞭をとり始めてから、学生が和音の響きや機能を感じることなしに、ただただパズル的に音を並べていることに気づき、「何とか内的に響きそのものとその意味、動きを感じる練習はないか」 と考え始めました。(中略)また、音楽の原点である「心で感じたことを声や楽器等を使って外的に表現する」ことを効率よく実現するために、心で感じたことと(心)、楽器で 演奏するという行為(身)との仲立ちをする身体のトレーニングの必要性を感じたのです。そこで、心と身体の橋渡しとなる神経組織のトレーニング方法、身体を音楽的にトレ ーニングする方法を考え始めました。これがリトミックの原点です。
 その後、スイスの心理学者クラパレードらの協力によりこのメソッドに対する様々な研究が始まり、次のような効果があることを発見していきました。 

② 人間教育
 ダルクローズクラス(註:リトミック)で行われる多くのエクササイズは、受講生自身が音楽を聴き、感じ、反応し、表現する過程を通して学びが進んでいきます。その過程では、響きを感じる、感じたことをこう表現したいと思う心の作用と、それを表現するまたは反応しようとする身体の作用とがあります。その一連の流れを左右するのが神経組織です。
 ダルクローズメソッドの二つ目の側面である「人間教育」の内実は、この神経組織のトレーニングを通し心身の調和を図り、自己解放を促すことにあります。

リトミックカリキュラムの中で「心身の練習」を積み重ねることにより、敏捷性、精神 の柔軟性、記憶、集中力、動きの調和、運動機能の調和、自身に対する感覚(自身の身体 部位の位置、自分の方向、自身のまたは全体的空間への認識)、方向感覚、力の調整、他 に対する適応性と順応性、表現力、発想力、想像力、協調性、社会性等の成果が得られます。これらは、子どもたちや私たちが人間社会を生き抜く上で必要不可欠な能力であり、 算数、理科、社会等、学問を学ぶことにより得られる能力ではありません。

ダルクローズは、このメソッドの目的は「生徒が自分自身を知ること、そして個性を伸ばすこと」と言っています。ダルクローズは、芸術、特に音楽は人々の力強い生命力を引 き出し、行動させ、自身をふりかえらせる(観察、分析する)力があると考えていました。
 音楽能力の発達は自己発達を促すと、異なる言い回しで繰り返し様々な文献に記述しています。

・・・・・・引用ここまで・・・・・・ 

 リトミックはとても楽しいものですが、それは音楽ゲーム自体の楽しさだけではありま せん。その楽しさは、音楽の刺激により、自分で考え、判断し、表現する充実感と、それをお友だちや先生に承認してもらうことにあります。そしてなにより自己の解放感だと思います。それが、無意識に自分に対する自信となっていきます。 私たちは、生徒さんがキャロルのリトミックを“ホーム”として、自分に自信を持って広い世界へ羽ばたいて欲しい、と常に願っております。