2020年度はコロナ禍でのスタートとなりました。4月、5月は非常事態宣言により休講となり、実際に2020年度がスタートしたのは6月でした。その後も何回か休講しなければならない状況になりましたが、保護者様のご協力とご理解に支えられ、何とか本年度を無事に終えられそうです。本当に心よりお礼を申し上げます。
2020年度のキャロル
4月5月……休講
新学期を迎えられないままキャロルは休講となりました。学校や幼稚園もお休みになり、生徒さん達はどんな様子なのかがとても気になっていました。何か楽しい事はできないかとスタッフで考え、「ビデオレター」を作成する事となりました。クラスごとに担当講師が自宅でリトミック動画を撮ったの です。内容は今までレッスンした中で、生徒さん達がすごく喜んだものを選びました。カメラへ話しかけるのは気恥ずかしさがありましたが、一人一人生徒さんのお顔を思い出しつつ、リトミックをしている姿を想像しているうちに自分自身が癒されていくのがわかりました。生徒さんとの繋がりを再確認できた動画作成でした。ご家庭でお子さまがYouTubeを観る機会を作っていただいた保護者の皆様、ありがとうございました。
6月
レッスンが再開しました。除菌・換気の徹底と生徒さんには手洗い・検温・マスク着用等をお願いし、 注意深くレッスンを行いました。広い部屋ですが、少しでも広く使えるようにピアノの位置を変え、床には毎回テープを張り、集合する時はその上に立ち、生徒さん同士が密にならないようにしました。辛かったのはリトミックの醍醐味である、触れ合い感じ合うエクササイズを控えた事でした。手を繋ぐ事すらやめたのです。ところがそれは、“空間的に感じ合う”というエクササイズのきっかけを作ってく れました。いつの間にか離れた場所からアイコンタクトをとりつつ、友達と一緒にアンサンブルできるようになったのです。これは生徒さんにとって素晴らしい成長だったと思います。
7月8月
休講で遅れたレッスンの流れを取り戻すために、夏休みを短くしてレッスンを行いました。マスクをして水分補給しながらの暑い夏となりましたが、生徒さん達とは休みなく会う事で、2学期のレッスンをスムーズに進める事ができました。
2021年 1月
1月31日の日曜日に「作品発表会」を開催しました。この発表会は毎年行っています。今回はクラス単位の完全入れ替え制でお客様はご家族だけでしたが、照明も入り、いつものスタジオが素敵な舞台になりました。D(1年)クラスはメロディー作曲、F(3年)クラスは和声付き作曲、研究科(4、5、 6年)クラスは「補足リズム」という課題で作曲や「プラスティックアニメ」を発表しました。プラスティックアニメとは音楽を視覚化することです。まず音楽を分析し、それがわかる表現を考えて決めていきます。作曲もプラスティックアニメも、「自分のオリジナルを創り出した」という自信と達成感が一人ひとりの生徒さんの表情に溢れていて、見守る私たち講師も胸が熱くなる発表会でした。これらの発表会プログラムをYouTubeで4月までの限定で配信しました。
2月3月
2度目の緊急事態宣言の中、レッスン見学をできないご家庭へ向けていつものレッスンを動画に撮り配信しました。生徒さん達に「動画を撮ってお母さま達にみていただこう!」と呼びかけると、とても嬉しそうでした。こちらも3月いっぱいまでの限定配信となります。見学日で実際にお母さまが見られている時よりも、自然ないつもの様子をお伝えできたのではと思います。
自粛生活が続く中、音楽の力を再確認された方が多かったのではないでしょうか? キャロルでは、どのようにレッスンをするのがベストなのか模索し続けた1年でした。より良い音楽で即時反応のレッスンを提供したいという志により、どうしてもオンラインレッスンに切り替えられず、皆さまにはご協力をお願いするばかりで心苦しく思っていました。それでも、皆さまからはいつも暖かい応援のお言葉を頂戴し、スタッフ一同どんなに勇気をいただいたかわかりません。本当にありがとうございました。4月からも音楽による音楽教育、音楽による人間教育を高めていけるよう頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
リトミック a la carte vol.29
リトミックの創始者であるエミール・ジャック=ダルクローズ(1865-1950)はリトミック指導教本を敢えて残しませんでした。ダルクローズがリトミックを発表してから生涯を閉じるまで、ダルクローズ自身もリトミックも進化し続けました。彼は、リトミック指導は国や文化・環境・世代の違う人々 に対して柔軟に変えていくべきものだとも考えていたのです。しかし理念だけは継承し守るべきものとして、いくつもの文献を残しています。 今回はダルクローズ自身がリトミックについて語った語録をいくつかご紹介したいと思います。
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「私が創始し、今日、私の名を冠して呼ばれている教育方法とは?」
エミール・ジャック=ダルクローズと律動する音楽より
《身体そのものが音と我々の思考の間の仲介者の役割を演じ、我々の感情を直截的に表現する楽器となることができるような音楽教育を私は夢見ている。 1898年》
《すべてのうち最も柔軟で完全な「人体」という演奏手段を芸術に与えることである。 1909年》
《自分自身を明晰に観察し、自らを知ることにより、自己の持つ能力から最大の成果を引き出すこと である。1909年》
《音楽に生命を吹き込む感情そのものが、内的心情を自発的に外在化させるプロセスである 1919年》
《音楽的リトミックの上にうち建てらえた身体的リトミックである 1922年》
《芸術への準備段階である 1924年》
《何よりもまず、個人的体験である 1925年》
《動きと思考全ての媒介者同士の間で迅速で軽快なコミュニケーションを行うシステムが、身体の中に作られることである 1925年》
《ひとつの動作から次の動作へ、ひとつの思考からもうひとつの思考へと、しなやかに、たやすく移行できるようにすることである 1945年》
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いつかご父兄の皆様にもリトミック体験をしていただく機会があれば、と思います。大人のリトミッ ク講座を開催した時には是非ご参加をお待ちしております!