2020年の年明けは暖冬で、過ごしやすい冬のまま春が訪れるのかなと思っていましたら、新型コロナウイルスが世界中で大流行し、大変な春となってしまいました。
キャロルのレッスンも3学期後半に続き、新学期の4月も休講を余儀なくされることとなってしまい、保護者の皆様には、何度もメールで休講や変更のお知らせをお送りし、そのたびにご確認の返信をお願いいたしました。ご理解、ご協力をありがとうございました。
お子さま達、そのご家族の皆様の安全と安心が何よりも大切なのは勿論ですが、学校や幼稚園がお休みになる中、子ども達の日常の楽しみが次々と制限されていくのがとても気がかりでした。「子どもと一緒にキャロルのリトミックの再開を楽しみにしています」とのお声もたくさん頂きました。私達講師へのねぎらいやお気遣いのお言葉も、本当にありがとうございました。
今年創立40年の節目を迎えたキャロルの新学期の始まりが、このようなことになるとは思ってもみませんでしたが、長年子ども達とリトミックのレッスンを当たり前の様に行って来ることができた幸せを、しみじみと感じる機会ともなりました。
この「キャロルおしゃべり箱」も3月に発行する予定でおりましたが、皆様にお届けするのも大変遅くなってしまいました。
そしてこの新学期も、保護者の皆様と共に子ども達を守りながら楽しくリトミックレッスンを続けられるよう努力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様のおかげでキャロルは昨年度も、子ども達の元気なパワーで楽しくレッスンを行なうことが出来ました。
それでは、キャロルおしゃべり箱をお届けいたします!
2019年度のキャロル
8月…造形教室「コロコロ迷路」
お馴染み、立体造形家の御堂誠二先生を講師にお迎えしての夏の造形教室。今回の作品は『コロコロ迷路』でした。
ベースの四角い板に薄い木の板を立てて道を作り、ビー玉を転がして遊ぶおもちゃを作るのですが、あちこちに御堂先生のアイデアと繊細なこだわりが感じられる、愛情のこもった手作り作品となりました。
言葉でお伝えするのは難しいのですが、ベースの四角い板には迷路の道となる薄い板がピッタリ挟めるように、正確な碁盤の目の様な小さな四角いマス目が張り付けられています。それを家で何日もかけて、参加人数分を作って来て下さいました。
また迷路の道となる細い板を、色々な長さでたくさん準備して頂き、更に作品のフレームとなる木枠も用意して下さいました。
本当はフレームも接着して完成したものを準備した方が、御堂先生の当日の作業工程も減って楽になるのですが、「フレームを最後につけた方が、子ども達の迷路を作る作業がしやすいから」とおっしゃってくださいました。
まずどんな道を作るかスタートからゴールを決めて色鉛筆で一本線を描き、その道のマス目にカラフルなシールを貼り、それを左右に挟む塀の様に、薄い板を立てて行きます。
小さな年齢のクラスは1本道で完成!
小学生は御堂先生のアイデアで、自分の名前の漢字一文字を決めてシールを貼り、迷路に仕上げました。マス目にピッタリサイズのカラフルなシールが貼られて、インテリアとしても素敵と思えるほど、とても綺麗な作品に仕上がりました。
男の子はさすが!凝りに凝って複雑な迷路を作り上げ、大満足でした。
「長年キャロルの子ども達と手作り工作をしてきて、それぞれのアイデアで作品を仕上げた時の満足そうな笑顔を見ているので、準備も手抜きできない」と御堂先生の愛いっぱいのお言葉でした。
毎年3月の春分の日に開催しております「作品発表会」。これに出演するクラスは、Dクラス(1年生)、Fクラス(3年生)、そして研究科(4、5、6年生)。
それぞれメロディー作曲、伴奏を付けた和声付作曲、そして多彩な音階を使った即興演奏、音楽と動きや歌といったリトミックの課題の中では比較的観て頂いてわかりやすいものを披露するコンサートです。
今年も子ども達は着々と準備を進め、発表会を楽しみにしていました。ところが2月の終わりに突然、新型コロナウイルス感染拡大対策の為に学校や幼稚園がお休みとなり、キャロルも休講することとなってしまいました。
イベントも自粛しなければならなくなり、作品発表会も中止にするしかないと私達講師も一度はあきらめかけました。
しかし2週間ほどでレッスンを再開することが出来、子ども達のこれまでの努力を、頑張って作った作品を、何とか保護者の方にだけでも聴いて頂けないか、と考えました。出演クラスのお母様方の後押しも頂き、レッスンの見学日の延長という形でクラスごとの完全入れ替え制にし、予定していた20日に保護者の皆様に披露することが出来ました。
お願いしていた照明の業者さんも「今舞台の仕事はキャンセル続きで、久しぶりの本番です!」と張り切って下さり、照明の演出で普段のレッスンとは全く違う雰囲気の中で演奏することが出来ました。
今回は残念ながら出演クラスの保護者の方のみの参観でしたので、キャロルの皆さまにも観ていただけるように、出演プログラム全ての動画をYouTubeにアップし、お知らせいたしました。沢山の方にご覧けました。ありがとうございました。
キャロルリトミックスクール ピアノクラス講師
皆様ご存じのようにキャロルでは個人ピアノクラスを併設し、年中クラスからご希望の方に受講して頂けるシステムとなっております。そのピアノクラスで25年もの長い間講師を務めて下さった髙田美佐子先生が、この3月で退任されることとなりました。
その後任として出井 沙緒梨(でいさおり)先生に、昨年9月より新規の生徒さんの指導にあたりながら髙田先生との引き継期間を経て、4月からキャロルピアノクラス全員の指導をして頂くこととなりました。
髙田先生、出井先生からメッセージをいただきました。
「キャロルでの幸せな日々」 あたりまえに思っていたことが、実はとてつもなく幸せの形だったことに気づくことがあります。キャロルリトミックスクールでの日々がまさにそうでした。 子供達にピアノを教えることは音大生時代からやってきたことでしたが、すべての子供達がリトミックを学んでいる教室でのピアノクラスを受け持つことは私にとっては夢のような出来事でした。思えば、私自身も今にいたるまでリトミックと共に歩いてきました。 幼稚園の課外授業で受けていたリトミック、毎週その時間が楽しく、古いアルバムをめくると笑顔でステップしたりリズムカードを持っている自分が写真で残っています。小学生、中学生と師事していたピアノの先生も国立音楽大学出身の方で、レッスンの中にリトミックの要素を取り入れてくださっていました。大学受験準備から師事した先生は、国立音楽大学出版の「音楽反応の指導法」というリトミックの本に生徒役として写真に載っていた方で、ピアノ科の先生でありながらリトミックの重要性と必要性をいつも話してくださっていました。 キャロルリトミックスクールのピアノクラスを担当するにあたり、いつも心がけていたことは「経験に基づいた知識」を軸としようということでした。 ピアノのレッスンは数多くの音楽用語や理論的なものに出会います。その一つ一つを言語として教えるのではなく、音楽と共に身体を使っての経験をとおして体験させてあげたいと思い続けていました。そのためにはどうしたらよいかという思いでダルクローズ国際免許への勉強もしました。 リトミックと共に成長しているキャロルの子供たちは、いろいろな音楽経験を無意識の中で積みかさねてきています。ビート感であったり、フレーズ感であったり、音楽を聴き取る心の細やかさであったり。そんな子供達とのピアノレッスンは、他では得られない時間でした。 この25年間、あたりまえのように過ごしてきたことが、とてつもなく特別な幸せなもので、かけがえのないことだったのだと、ここにきて深く思います。私のやりたいものをいつも支えて見守ってくださっていたリトミックの先生方にはどれだけ感謝してもしつくせないものがあります。そして、リトミックとともに歩いてきた私と一緒に、ピアノをとおして音楽の世界を旅してくれたたくさんの生徒さんたちに、心から「ありがとう」とお伝えしたいです。 髙田美佐子
ピアノ講師の出井沙緒梨です。 子どもたちと関わることが大好きなので、キャロルリトミックスクールでピアノ講師ができることをとても嬉しく思います。これまでピアノやソルフェージュのレッスン、伴奏をしてきましたので、その経験を生かして、子どもたちの個性を大切にひとりひとりに合わせたレッスンを心がけていきたいと思っています。 リトミックを経験している子どもたちは、リズム感があり音楽を聴く耳ができていると感じます。ピアノのレッスンでもリトミックでの経験や音楽に対する感覚を大事に、楽しくレッスンしていきたいです。 またピアノを弾くことは自分で音楽をつくることになります。どう演奏したいかを一緒に考え、演奏技術とともに豊かな表現力を育んでいけたらと思います。 音楽って楽しい!と思ってもらえたら嬉しいです。レッスンで皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。 出井沙緒梨
髙田先生、長い間本当にありがとうございました。毎年の発表会ではソロ演奏だけでなく、子ども同士の連弾やプロの演奏家とのアンサンブルなど、子ども達にたくさんの楽しい体験をさせて下さいました。特に2017年のヴァイオリンとチェロの先生とのピアノトリオは、本当に貴重な素晴らしい経験だったと思います。
出井先生、優しい笑顔とフレッシュなセンスで、音楽が大好きなキャロルの子ども達にピアノの楽しさをたくさん伝えてあげて下さい。よろしくお願いいたします。
リトミック a la carte vol.28
リトミックって何?と聞かれたら、どう答えたらいいの?
リトミックって誰が考えたの?
どうして音楽と一緒に歩いたり走ったり動いたりするの?
毎年Fクラス(3年生)のレッスンで、子ども達にリトミックについての質問を受け、答える時間を作っています。そして上記は、必ず質問に上がるトップ3。
小さなころからキャロルに通い、3年生クラスともなると音大生顔負けの課題をやってしまう子ども達です。リトミックを”楽しい!”と思って続けてきた子ども達が、そのリトミックの成り立ちや歴史を、少しだけ知る機会を持ちます。
そして私はちょっと意地悪く、質問に「あなたはどう思うの?」と聞いてみます。
「リトミックって、音楽に合わせて動いたりすること?」 :うーん、間違ってはいないけど、それじゃあバレエやダンスとはどう違うと思う?
「リトミックを考えたのは、先生たちじゃないの?」 : えっ!?(爆笑)
「音楽と一緒に歩いたり走ったりするのは、楽しいから !?」 :それはとても大事なことね。そういうことを楽しみながら繰り返し続けていくと、音符やリズムや拍子やフレーズ…音楽のことがいつの間にかわかるようになっているのがすごいと思わない?
キャロルで長年リトミックを続けてきた子ども達だからこその受け答えに、笑ったり、驚いたり、感心したり。言葉でリトミックを説明するのは本当に難しいのです。「この子たちとゆっくりお茶でも飲みながら、リトミックの話をしてみたいな」といつも思います。
そしてリトミックを考案したダルクローズの生まれ育った環境や、リトミックを考えるまでに至った経緯、その後どのようにして日本に入ってきて広まったのかを興味を持って知って欲しいと思います。
リトミックは“心と身体”で音楽を知る「音楽教育」です。
人は成長し、生活をする上で、身体を自然にスムーズに動かすこと=リズム感を持つことが必要です。また、社会生活ではコミュニケーション力や表現力、心豊かな情緒も大切です。“心と身体”に着眼したからこそダルクローズの理論は、音楽を通して「人」を育てる教育でもあると言われるのです。